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余談に近い知識「EUR/JPY売り+AUD/JPY買い=AUD/EUR買い」ってほんと?
よく、
EUR/JPYの売りとAUD/JPYの買いを同時にするということは、
AUD/EURの買いをすることと同じだ!という理屈を耳にします。
これって本当なんでしょうか?
ちょっと考えて見ましょう。
まず前提知識として、
「初心者にはわかりにくい言葉、言い回し」でも説明していますが、
○○/●●の売りというのは、
○○を売って、●●を買うということです。
また○○/●●の買いというのは、
○○を買って、●●を売るということです。
ということで、EUR/JPYの売りは、
EURの売り、JPYの買いです。
また、AUD/JPYの買いは、
AUDの買い、JPYの売りです。
ですので、EUR/JPYの売りとAUD/JPYの買いを同時にやると、
JPYは実質買いと売りが発生して打ち消されるため、
AUDの買いとEURの売りが残り、
AUD/EURの買いと同じことにるように思えます。
しかし、ちょっと待ってください!
これには意外に気づきにくい落とし穴があるんです!
こういった「あまり気づかない細かいこと」が、
後々のリスク要因になったりますので、
リスクを把握するためにもちょっと説明してみます。
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本当にJPYの売りと買いは打ち消しあっているか? |
EUR/JPYの売り、AUD/JPYの買いが、
AUD/EURの買いと完全に同じになるのは、
両通貨ペアでJPYの取引額が全く同じになるときです。
たとえばEUR/JPYが160円のときに1万通貨を売ると、
160万円分の円買いになりますが、
AUD/JPYを100円として、1万通貨を買いとすると、
100万円分の円売りになります。
この場合は差し引き60万円分円買いの方にポジションが傾いていることになります。
ですので、JPYの売りと買いのバランスが取れていないため、
EUR/JPY売りとAUD/JPY買いをすれば、
必ずしもAUD/EUR買いになるわけではありません。
完全に「EUR/JPY売り+AUD/JPY買い=AUD/EUR買い」にしたいなら、
JPYの取引額を全く同じにするということが必要になります。
EUR/JPYが160円
AUD/JPYが100円
の場合は、EUR/JPYの5万ユーロを売り、
AUD/JPYを8万豪ドル買わなければなりません。
これでEUR/JPYもAUD/JPYもJPYの取引額が800万円になるため、
バランスがとれ、AUD/EURの買いと完全に同じになりました。
これではじめて、
EUR/JPY売り+AUD/JPY買い=AUD/EUR買い
と言えるわけです。
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合成ポジション |
余談に近い知識になるかもしれませんが、
上に書いたことと関係していることなので少し触れておきます。
上記のように2つの通貨ペアを取引することによって、
新しい1つの通貨ペアを取引しているのと同じ効果が得られるポジションを、
合成ポジションと言います。
EUR/JPYの売り、AUD/JPYの買いでAUD/EURの買い合成ポジション、
GBP/JPYの買い、CHF/JPYの売りでGBP/CHFの買い合成ポジションなどです。
こうすると、
くりっくのようにクロス円しか取り扱っていない業者でも、
EUR/USDといったポジションを取ることも可能です。
ただ、手数料が2重にかかる上に、
合成ポジションをとるにはある程度の巨額の証拠金が必要になります。
単位も大きくなってくるので、
1万通貨だけ売ろう、というようなこともできません。
ですので、なるべくなら普通に業者が取り扱っている通貨ペアの範囲内で、
ポートフォリオを構築できるほうがベターでしょう。