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ちょっと難しい実践的な分析どの通貨の組み合わせが有利か?:相関係数
よく、投資する通貨を分散して、
リスクヘッジするということが言われます。
たとえば、以下の比較チャートを見てください。
上はGBP/CHFとCHF/JPYの比較チャート、
下はZAR/JPYとUSD/JPYの比較チャートです。
それぞれ反対の動きをする傾向があります。
(GBP/CHFとCHF/JPYが逆の動きをするのは実は当たり前なのですが、
ここでは気にしないでください(笑))
このような組み合わせの通貨を同時に持つと、
片方が下がったときに片方が上がるので、
結果的にポートフォリオ全体のボラティリティを小さくすることができます。
しかし、上の2つの比較チャート、
どちらがより分散効果がある組み合わせか?
と考えると、目でみた感じでしかわかりません。
GBP/CHFとCHF/JPYの組み合わせの方が正反対に近い動きをしているように見えますが、
期間もそれほど長くないですし、本当に正しいのかしっくりきません。
若干の違いならいいんじゃない?と思うかもしれませんが、
これがレバレッジを上げていくと、大きな差になることもあるので、
少しでも分散効果の高い組み合わせでポートフォリオを組むのが望ましいです。
こういった分散効果の高い組み合わせを、
数字で確認できるのが相関係数です。
相関係数は2つの集合が、全く同じ変動をしているなら1、
全く逆の動きをしているなら-1になる係数です。
値が大きいほど相関性が高く、(同じ動きをする性質が強く、)
値が小さいほど逆相関性が高い(正反対の動きをする性質が強い)ということを意味し、
値が0の場合は2つの集合は全く関係なく変動しているということを意味します。
そして、2つの通貨ペアの相関係数が-1に近いものを、
同時にロング、またはショートすることによって、
ポートフォリオ全体のリスクを減らすことができます。
では、GBP/CHFとCHF/JPY、ZAR/JPYとUSD/JPYの、
どちらがより反対に近い動きをしているかを、
過去5年の為替レートから調べてみます。
1.過去のデータを取得 |
http://www.oanda.com/convert/fxhistory
から、GBP/CHF、CHF/JPY、ZAR/JPY、USD/JPYの過去5年のデータを取得します。
今回は2001年11月22日から2006年11月22日までのデータを取得しました。
2.相関係数を算出する |
エクセルに計算させれば意外と簡単にできます。
CORREL関数を使います。
CORREL(集合1,集合2)とします。
GBP/CHF、CHF/JPYの相関係数を求める場合は、
集合1、2はそれぞれGBP/CHF、CHF/JPYのレートを入れます。
これによって、
GBP/CHF、CHF/JPYの相関係数は-0.34、
ZAR/JPY、USD/JPYの相関係数は-0.69となりました。
上の比較チャートでは、
GBP/CHFとCHF/JPYの組み合わせの方が反対に動いているように見えましたが、
より長期のデータで分析すると、
ZAR/JPYとUSD/JPYの組み合わせの方が分散効果は高いという結果がでました。
このようにして、相関係数は、
2つの通貨間の分散効果の高さを検証する時に役立ちます。
ただ、検証期間を変えると、
検証する通貨によっては相関係数も結構変わってしまうので、
どのくらいの期間で検証するか?という問題が残ります。
もし、ある時から国内情勢が劇的に変化して、
通貨の動きが変わってきた!というなら、
劇的に変化する前のデータは入れない方がいいかもしれません。
たとえば有事のドル買いといわれていたドルが、
911テロ後、有事のドル売り傾向がある場合などです。
この辺は、
これからの相場にもマッチしそうな期間を臨機応変に考えるしかありません。
ただ、どうしてもわからないとき、または、極端に短いよりは、
なるべく長期のデータを使用する、
というのが統計学的にはより信頼できる結果が得られると考えられます。
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