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ちょっと難しい実践的な分析

2つの通貨を合計したボラティリティの算出方法

*このページの情報は2008年08月22日時点のものです。

これまで、1つの通貨単体でのヒストリカルボラティリティの算出方法は説明しました。

しかし実際の為替取引では同時に2つ以上の通貨を持つことがほとんどでしょう。

なので、個別のボラティリティがわかっても、
ポートフォリオ全体のボラティリティがわからなければ、
実践的ではありません。

ただ、3つ以上の通貨を含むポートフォリオのボラティリティの算出は、
やや難しいので、まず2つの通貨までのポートフォリオで使える算出方法を説明します。

ここではZAR/JPYとUSD/JPYのポートフォリオを考えます。


 1.データを取得し、ヒストリカルボラティリティを算出する
「ヒストリカルボラティリティで通貨の変動幅を測る」に書いた方法で、
データを取得し、ヒストリカルボラティリティを算出します。

今回のデータは、
2001年11月22日から2006年11月22日までの5年間のデータを元に算出しています。

ヒストリカルボラティリティを算出


 2.相関係数を算出する
「どの通貨の組み合わせが有利か?:相関係数」に書いた方法で、
ZAR/JPYとUSD/JPYの相関係数を算出します。

相関係数を算出


 3.投資比率を追加する
ZAR/JPYとUSD/JPYに対し、どれくらいの比率で投資するのか?
という項目を追加します。

投資比率を追加

片方を入力すればもう片方が自動的に入力されるように、
上図のように片方は数式にしておくと便利です。

この数値はあとでいじりますので、
ここではとりあえず適当に0.5とでもしておきます。


 4.全体のヒストリカルボラティリティを算出する
次に、全体のヒストリカルボラティリティを算出します。

これが少しややこしいのですが、
公式として覚えてもらえればいいと思います。

以下は2つの通貨ペアのヒストリカルボラティリティを算出する式ですが、
Aは通貨ペアA、Bは通貨ペアBと考えてください。

2通貨ペアのヒストリカルボラティリティの算出式

と、なかなかややこしいのですが、
これはこういうものとして覚えた方がいいでしょう。

エクセルに数式として入力する場合は以下のようになります。

SQRT((Aの標準偏差*Aの投資比率)^2+(Bの標準偏差*Bの投資比率)^2
+2*相関係数*Aの標準偏差*Bの標準偏差*Aの投資比率*Bの投資比率)

この式に、ここまでの1、2、3で算出したそれぞれの値を代入します。

全体のヒストリカルボラティリティを算出する

これで、相関係数、投資比率を考慮した、
ZAR/JPYとUSD/JPYをあわせたヒストリカルボラティリティが算出されました。


 5.金利を算出する
最後にリターンである金利を計算します。

金利を算出する


これでおおむね2つの通貨に投資する際に必要な情報を計算してくれる表ができあがりました。

要はこの表で、
全体のHVをなるべく低く、全体金利をなるべく高い設定になるように、
投資比率を変更すればいい
わけです。

金額も出したい場合は、
投資比率の下あたりに、
投資比率を反映して自動計算するように、
金額比率なんかを作ってもいいかもしれません。

このままの設定なら、
投資比率はそれぞれ50%になっています。

値を見てみると、
全体のHVが6.45%、全体金利が6.34%となっていて、
それぞれの通貨を単独で買うよりも、
条件が良くなっていることがわかります。

相関係数が-0.68というのは、
かなり強い逆相関性があるので、
互いに打ち消しあい、分散投資の効果を発揮しています。

これが2つの通貨を合計したボラティリティの算出方法です。

ややこしい式がたくさん出てきましたが、
こういった分析ができるようになると、
分散効果が、感覚ではなく、数字で実感できるのでおすすめです。

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