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ちょっと難しい実践的な分析自分のポートフォリオは最悪どれくらい損をするのか?
「ヒストリカルボラティリティで通貨の変動幅を測る」では、
通貨の過去のデータからヒストリカルボラティリティ(HV)を算出しました。
ここでは自分が今持っているポートフォリオが、
過去のデータを元にした統計上、
最悪どれくらい損をするのかを計算してみましょう。
たとえばHVが7%の場合、
1年後に、±7%の範囲内にレートがおさまる確率は、
68.3%ということをお話しました。
これは言い方を変えれば、
1年後に-7%以上レートが下落する確率は、
15.9%ということになります。
さらに、HVの倍、つまり、
-14%以上レートが下落する確率は2.3%、
HVの3倍の-21%以上下落する確率は0.1%となっています。
しかしこのような表現では、
あまり実務的なリスク管理を実施しにくいので、
基準としてHVの2.33倍という値がよく使われます。
なぜこんな半端な数字を使うかというと、
HVの2.33倍以上の損をする確率がちょうど1%になるためです。
たとえばHVが7%なら、
-7%を2.33倍した-16.31%よりもレートが下落する確率はちょうど1%になります。
これは、99%の確率で-16.31%までの下落におさまる、
と言い換えることができます。
もし投資額が100万だった場合は、
16万3100円以上の損をする確率は1%になります。
そこでこの16万3100円という値をバリューアットリスク(VaR)、
99%のことを信頼区間と言います。
ただ、必ず信頼区間99%のものだけをバリューアットリスクというのではなく、
信頼区間を95%に設定する場合もあります。
その場合は信頼区間95%のバリューアットリスクで○○円、
というように表現します。
それでは、前回相関係数を算出した、
ZAR/JPYとUSD/JPYのバリューアットリスクを計算してみましょう。
1.2通貨ペア合計のリスクとリターンを算出する |
リスク(全体のHV)とリターン(全体金利)を算出します。
2.通貨ごとのVaRを求める |
3.2つの通貨をあわせたVaRを求める |
今度はNORMINV(1-信頼区間,全体金利,全体のHV)として算出します。
これで、ZAR/JPY、USD/JPYを投資比率50%50%で保有した場合のVaRが算出されました。
これによって、損失額は99%の確率で-8.67%以内におさまるということが、
確認できました。
このようにして、今の自分のポートフォリオのバリューアットリスクを計算してみると、
意外にいい組み合わせであることに気づいたり、
逆に悪い組み合わせであることに気づくことができます。
ポジションを持つ前に自分が考えているポートフォリオのバリューアットリスクを計算し、
リスクが少ないなら実践する、というスタイルにすれば、
よりよい成績が残せる確率も高くなるといえます。
ただ、これまでにも書きましたが、
分散効果があり、リスクが低い通貨の組み合わせなら、
いつ買ってもいいというわけではありません。
ここで書いたような分析をした後に、
テクニカル分析を実施して、なるべく良いタイミングで買うことも必要になります。
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